老後の生活について「お金の不安」を抱えている人はとても多いです。
年金だけで本当に生活できるのか、どれくらい貯金をしておけばいいのか、心配になりますよね。
この記事では、総務省や金融庁などの信頼できるデータをもとに、老後の生活費の平均額や、必要資金の準備方法についてわかりやすく解説していきます。
今からしっかり準備しておけば、安心して老後を迎えることができます。
ぜひ参考にして、自分に合った老後設計を始めましょう。
老後の生活費はどれくらいかかる?平均額をチェック

まずは老後にかかる生活費の平均額を知っておきましょう。
実際にどのくらいかかるのかを把握することで、必要な資金計画が立てやすくなります。
総務省「家計調査」からみる老後の平均生活費
総務省の「家計調査(2023年)」によると、高齢夫婦無職世帯の平均支出は、月に約23万円と報告されています。
この支出には、食費、住居費、医療費、交通費、交際費などが含まれています。
年金収入だけでは少し足りない家庭も多く、貯蓄の取り崩しが必要になるケースが一般的です。
早いうちから生活費の見直しや資金計画を立てておくことが大切です。
持ち家か賃貸かで大きく変わる生活費
老後の住居が持ち家か賃貸かによって、毎月の生活費は大きく変わります。
持ち家の場合は住宅ローンの完済が前提となりますが、固定資産税や修繕費がかかります。
一方、賃貸の場合は毎月家賃が発生し続けるため、老後資金に余裕を持たせる必要があります。
国土交通省「住宅市場動向調査」では、持ち家世帯と賃貸世帯の支出差も紹介されています。
夫婦二人世帯と単身世帯の生活費の違い
夫婦二人で暮らす場合と、一人で暮らす場合では、生活費も変わります。
総務省のデータでは、単身世帯の平均支出は約15万円/月とされています。
単身の方が支出は少ないものの、病気や介護リスクを一人で背負う可能性が高まります。
生活スタイルに合わせた資金準備が必要です。
老後の生活費を左右する主なポイントとは?

老後に必要な生活費は一律ではありません。
人それぞれ、かかる費用が大きく異なります。
住居費が老後の支出に大きく影響するから
住居費は老後の支出の中でも大きな割合を占めます。
固定資産税やマンションの管理費、家賃など、毎年・毎月の支払いを把握しておきましょう。
国土交通省「住宅ローンに関するデータ」も参考になります。
住居費を見直すだけで、老後の生活費を大幅に節約できる場合もあります。
医療・介護費用が増える可能性があるから
高齢になると医療・介護にかかる費用が増えてきます。
厚生労働省「介護費用に関する資料」によると、介護期間の平均は約5年、総額で数百万円に上ることもあります。
これらに備えた保険や貯蓄を用意しておくことが重要です。
医療費の自己負担額も年齢によって変わるため注意が必要です。
趣味や交際費にかかる費用も重要だから
老後の楽しみとして、趣味や交際費にかかるお金も考えておきましょう。
趣味を楽しむことで、心の健康を保つことができます。
しかし、趣味にかかる費用が増えると、生活費に影響を及ぼすこともあるので計画的に。
シニア向けの趣味教室やサークルの情報は、各自治体の公式サイトなどで確認できます。
老後の生活費を支える公的年金の仕組み

老後の生活を支える大きな柱が「公的年金」です。
ここでは、年金制度の基本と、年金をより有効に活用する方法を解説します。
国民年金と厚生年金の違いを知る
日本の年金制度は、「国民年金」と「厚生年金」の2種類に分かれています。
自営業や学生などが加入するのが国民年金、会社員や公務員が加入するのが厚生年金です。
厚生年金は国民年金に上乗せされる形で支給されるため、厚生年金に加入していた人は年金額が多くなります。
日本年金機構公式サイトで詳しい仕組みを確認できます。
「ねんきんネット」で将来受け取れる年金額を確認する
自分が将来受け取れる年金額を知りたい場合は、「ねんきんネット」を活用しましょう。
年金記録をオンラインで確認でき、受給見込み額もシミュレーションできます。
定期的にチェックして、将来の資金計画に役立てることが大切です。
未納期間がある場合もここで確認できますので、早めの対策が可能です。
繰り下げ受給で年金額を増やす方法もある
年金の受給開始を66歳以降に遅らせると、年金額を増やすことができます。
1か月遅らせるごとに0.7%ずつ増え、最大42%まで増額されます(70歳開始時点)。(日本年金機構資料)
健康状態や働く意欲に応じて、繰り下げ受給を選択するのも一つの手です。
ただし、受け取るまでの期間が空くため、生活資金の確保が必要になります。
老後の生活費の不足を補うための資金計画を詳しく

公的年金だけではカバーできない生活費を、自助努力で補うことが求められています。
ここでは、自分でできる資金準備の方法を紹介します。
iDeCo(個人型確定拠出年金)で老後資金を積み立てる
iDeCoは、老後資金を自分で積み立てる制度です。
毎月の掛金が全額所得控除され、税金を減らしながら資産形成できるメリットがあります(iDeCo公式サイト参照)。
運用益も非課税で、60歳以降に受け取ることができます。
少額から始められるので、今すぐ始めるのがおすすめです。
つみたてNISAでコツコツ資産形成をする
つみたてNISAは、少額で長期的に資産運用ができる制度です。
金融庁が認可した投資信託に積み立て投資することで、運用益が非課税になります(金融庁公式情報)。
20年間、年間40万円まで非課税で運用できるため、老後資金づくりにぴったりです。
リスクを分散させる商品選びがポイントです。
退職金の活用を考える
退職金も老後資金の重要な柱です。
退職金は一時金としてまとめて受け取るか、企業年金として分割で受け取るかを選べます。
退職所得控除を利用すれば、税金の負担を軽減することが可能です(国税庁 退職所得控除について)。
老後の資金計画に合わせて、受け取り方を考えましょう。
老後の生活費を賢く抑えるためにできること

収入を増やすだけでなく、支出を賢く抑える工夫も必要です。
ここでは、実践しやすい節約のポイントを紹介します。
固定費を見直して節約する
スマホ代、保険料、光熱費など、毎月かかる固定費は見直し効果が高いです。
格安スマホへの乗り換えや、不要な保険の解約を検討しましょう。
ちょっとした見直しで、年間数万円以上の節約が可能です。
比較サイトや消費者庁の公式情報(消費者庁公式サイト)も参考にしましょう。
地方移住を検討する
都市部に比べて、地方は家賃や物価が安く、生活費を大きく抑えられることがあります。
地方自治体によっては移住支援金制度も整っています(移住交流推進機構公式サイト)。
自然の中でゆったり暮らしたい人にもおすすめです。
移住前には現地見学や体験移住をして、生活イメージを掴むとよいでしょう。
シェアハウスやサービス付き高齢者住宅を利用する
シェアハウスやサービス付き高齢者住宅を利用すれば、生活費を抑えつつ安心して暮らすことができます。
サービス付き高齢者向け住宅情報提供システムで物件情報を探せます。
人とのつながりを持ちつつ、安心できる環境で老後を過ごせるのがメリットです。
施設によってサービス内容が異なるため、事前にしっかり調べましょう。
老後の生活費を考慮したおすすめの資産運用方法

老後資金を長持ちさせるためには、リスクを抑えながら運用する工夫が必要です。
ここでは、初心者にも取り組みやすい運用方法を紹介します。
バランス型ファンドでリスクを抑えながら運用する
バランス型ファンドは、株式、債券、不動産など複数の資産に分散投資する投資信託です。
これ一つで分散効果が得られるため、リスクを抑えながら運用できるメリットがあります。
楽天・バランス・ファンドなど、初心者向けの人気商品もあります。
リバランス機能付きの商品を選ぶと、資産配分の見直しも自動で行われるので便利です。
国債や社債など安定運用を取り入れる
リスクをもっと抑えたい方には、国債や社債への投資もおすすめです。
特に個人向け国債(変動10年)は元本保証があり、安全性が高い商品です(財務省 個人向け国債公式ページ参照)。
社債も信用力の高い企業のものを選べば、安定的な収益源となります。
リスク分散の一環として、ポートフォリオに取り入れるとよいでしょう。
不動産投資で家賃収入を得る方法もある
安定した収入を得る手段として、不動産投資を考える人も増えています。
毎月の家賃収入が得られれば、年金にプラスして収入源が増えます。
ただし、空室リスクや維持管理費がかかるため、慎重な立地選びと資金計画が重要です。
不動産流通推進センターで市場動向を確認し、リスクを最小限に抑える工夫をしましょう。
老後の生活費を見直すタイミングとその方法

老後の資金計画は、一度立てたら終わりではありません。
ライフステージに合わせて柔軟に見直すことが重要です。
定年退職時に生活費の見直しを行う
定年退職は、生活費の見直しに最適なタイミングです。
収入が年金中心になるため、支出も見直し、無理のない生活設計に切り替えましょう。
家計簿アプリなどを使って、毎月の収支を見える化することが効果的です。
無駄な支出を洗い出し、固定費を減らす工夫をしていきましょう。
年金受給開始前に家計シミュレーションをする
年金を受け取り始める前に、家計のシミュレーションをしておくと安心です。
ねんきんネットなどを活用して、将来の年金額を確認しましょう。
支出に対して収入がどれくらい不足するかを予測することで、早めに貯蓄や運用の見直しができます。
また、必要に応じて生活スタイルを調整することも検討しましょう。
大きなライフイベントごとに支出を見直す
引越し、病気、介護が必要になったなど、ライフイベントのたびに支出を見直しましょう。
生活環境が変われば、必要な支出項目や金額も大きく変わってきます。
柔軟に対応できるよう、定期的な見直しを習慣化することが大切です。
特に医療・介護費用は想定以上にかかることがあるので、早めに備えておきましょう。
老後の生活費についてよくある質問まとめ!

老後資金について多くの方が抱える疑問を、わかりやすくまとめました。
年金だけで生活できるの?
年金だけで生活できるかは、生活スタイルや地域によって異なります。
総務省の家計調査では、高齢夫婦無職世帯の収入(年金中心)が約22万円、支出が約23万円となっています(家計調査2023年版)。
年金だけではわずかに不足するケースが多く、貯蓄の取り崩しが必要と考えられます。
早めに生活コストを下げる努力も必要です。
老後資金はいくら貯めれば安心?
金融庁の報告書では、夫婦2人の老後30年間に約2,000万円が不足する可能性があるとされています(金融庁報告書)。
ただし実際に必要な額は、持ち家の有無、生活レベル、健康状態によって異なります。
自分自身のライフスタイルを見据えた資金計画を立てましょう。
医療・介護費用はどれくらい見込むべき?
生命保険文化センターによると、介護が必要になった場合、介護期間の平均は約5年、月額費用は約8.3万円とされています(生命保険文化センター資料)。
医療費も高齢になると増える傾向にあるため、別途300万円〜500万円程度の予備資金があると安心です。
健康管理を心がけることも、医療・介護費用を抑えるコツになります。
働きながら年金を受け取ることはできる?
一定条件のもとで、働きながら年金を受け取ることは可能です。
ただし、「在職老齢年金」の制度により、年金額が一部減額される場合があります(日本年金機構公式ページ参照)。
収入の見込みを把握して、損のない働き方を選びましょう。
体に無理のない範囲で働くことがポイントです。
まとめ|老後の生活費を知って、必要資金をしっかり準備しよう

老後の生活費は、生活スタイルやライフプランによって大きく変わります。
総務省や金融庁のデータを参考にしながら、現実的な資金計画を立てることが大切です。
早いうちから積立や節約、資産運用に取り組み、安心できる老後生活を目指しましょう。
この記事をきっかけに、ぜひ今日から老後資金の準備をスタートしてみてください。